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Short Review : 2017年にNetflixで見たドキュメンタリー映画

 

たしか春くらいだったと思うけど家のテレビの内蔵機能でHuluが見れなくなり、いろいろモヤモヤしたので思い切ってApple TVを導入してみました。で、結局Huluはあんまり見てないんだけどなんとなく加入したNetflixが自分にはちょうどよくて愛用してます。家ではApple TV経由で大きく見れるし、デスクトップでもノートPCでも見れるし、ダウンロードもできるからスマホで移動中とかにも見れるし。さらに映画のラインナップもちょうどいいんよね。興味あったけど結局見逃した単館系の映画とかも結構豊富で。というわけで2017年は結構映画見たイヤーでした。映画館もちょこちょこ行ったけどNetflixありがたや状態なので個人的なお気に入りを紹介します。ただ全体を網羅するとめんどくさいしそんなにマニアでもないのでドキュメンタリーにしぼりました。


■2017年にNetflixで見たおすすめドキュメンタリー映画

『聖なる地獄』

シンプルに言うとカルト教団を撮ったドキュメンタリー、っていう感じだけど内部メンバーの目線だからか完全に否定的ではなく、リーダーの悲哀というか、堕ちていくカリスマを見つめるやり切れなさみたいなのが感じられていい。国とか宗教とか色々ひっくるめたさまざまな「コミュニティ」の縮図とも言える栄枯盛衰物語。脱会後に再びリーダーに会いにいくシーンが良い。一瞬だし言葉は少ないけど目が語ってる。

 

『拾ったものはボクのもの』

意図せず購入してしまったものの所有権にまつわるドキュメンタリー映画。主役の二人が両者ともクセ者で人間味があって好き。サウスパークのカートマンが大人になったらあんな感じになりそう。メディアによって小さな出来事がどんどん広がってなんかよくわからんけど人が有名になったり消えていったりする様はゴーストライター騒動の新垣氏を連想した。人間の欲望って愚かで面白い。おろかわいい。

 

『VHSテープを巻き戻せ』

ビデオテープなんて過去のメディア、くらいにしか思ってなかったし劣化していく中途半端なものだから題材としてどうなの?と思ってたけど良かった。映像メディアが家庭に普及していく最初のきっかけだし、(誰もが繰り返し巻き戻したことによる)ノイズのあとにはヌードのシーンがある、とか独自のコミュニケーションもVHSならではの味。たぶんレコードとかにも同じようなメディア自体の物語があるんだろうな。アナログ信者には共感できんけど。

 

『世界一危険なコメディアン』

先ほどの二本よりももっと社会的な印象。政府をユーモアや風刺で批判する男の話。でも彼自身、というよりエジプトという自分にとって全く馴染みのない国の情勢や市民のいろんな声を覗けたことが良かった気がする。香港のデモとか見ても感じたけど日本のように(ある程度)表現の自由が許される国よりもこういう抑圧や制限がある方がみんな政治的意見を持つようになるだろうな。もっといろいろ勉強せな。

 

『Fake ディレクターズカット版』

Fake自体は映画館で見たんだけどNetflixでも見れるし実際にあらためて見直したので一応。さっきもちょっと触れたけどゴーストライター騒動の佐村河内氏の姿を内側?日常側?から撮ったもの。オウムを撮ったAとかA2の手法にも似てるね。善悪とか勝敗とか正否とかがモヤモヤする感じは心地よくないけど有益なモヤモヤだと思う。世界のほとんどはグレーゾーンなんよね、と気づかせてくれると同時にメディアの胡散臭さも知れる。

 

あと番外編的な感じだけど映画館で見た「人生タクシー」も面白かった。そのうちNetflixきそうな気がするので(なんの根拠もないけど)しばらくお待ち下さい。評判が良かった「テキサスタワー」は自分的にはイマイチだった。手法は斬新かもしれんけど…あんまり意味を感じない。手法部門的にいくつか紹介すると…「ヴィクトリア」ーワンカットのみの映画。臨場感はやっぱりすごくて個人的には面白かったと思う。ストーリーが無理矢理で不自然、とかの声もあるけど。あと酔うけど。「クローバーフィールド」ーホームビデオで撮りました風の作品として話題になったやつ。これも面白かった。酔うけど。続編はイマイチとの声もあるけど未見。「タンジェリン」ーiPhoneで撮ったらしいけどあんまりそう見えないから意味ない。でもオカマたちの掛け合いが面白かったので作品としては好き。「バードマンーあるいは〜」ーアカデミー賞もとった有名なやつ。こちらもワンカット(風に撮ってる)やつだけど特に好きになるポイントはなかった。やっぱ手法と内容はうまいこと連動せんとダメやね。

それでは、良いお年を。(書いたのは2017年だったので)

 

Diary : 上京タワー

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…というわけで以前も書きましたが東京に行って来ました。だいぶ時間経ったけど…自分への備忘録も兼ねているのでしょうもない情報も盛りだくさんでお送りします。一応背景としては代官山フォトフェア2017っていうイベント内で開催されていたコンペの授賞式に参加するための上京でした。それだけなら1泊とか日帰りでもどうにかなったんだけどせっかくの東京(2年ぶり)なので色々探してみると…まぁあるわあるわ…毎日なんか面白そうなことやってるんよね、東京は。ということでざっくりスケジュール組んで色々巡って来たのでその記録です。宿は渋谷のカプセルホテルでした。寝苦しかったしおっさんにキチガイか!とか怒られるし…あんまりいい印象ないので次回は個室がいい…。ざっくりラインナップはこんな感じ。↓


■9/28(木)
「アイスランドの夏をあつめて」加治枝里子&濱田大輔@代官山 蔦屋書店ギャラリー
「代官山フォトフェア2017 イベントプレビュー & Magnify Photo コンペ授賞式」@代官山ヒルサイドフォーラム
※食事について:新幹線での串カツ等→焼肉(男たちの集い)

■9/29(金)
「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」@六本木 21_21 DESIGN SIGHT
「続・ドヤ街」展@六本木 Zen Foto Gallery
「海底」野口里佳@六本木 タカイシイギャラリー
「We do not need you, here. / If I could only fly. 」岡本裕志@南麻布 EMON PHOTO GALLERY
「A.W.P Selection 2017-次世代を担う写真家たち-」@リコーイメージングスクエア銀座
「DEPARDON / TOKYO 1964-2016」レイモン・ドゥパルドン@銀座 シャネル・ネクサス・ホール
「ここがどこだか、知っている。」松本美枝子@銀座 ガーディアンガーデン
「UNTITLED RECORDS」北島 敬三@新宿 photographers' gallery
「Family Regained」森栄喜@新宿 KEN NAKAHASHI
※食事について:豆腐ハンバーグ→焼肉(食べ放題alone)

■9/30(土)
「横浜トリエンナーレ2017」@横浜美術館、赤レンガ倉庫
「黄金町バザール2017」@黄金町〜日ノ出町エリア
「劇場版 其ノ灯、暮ラシ」エリザベス宮地@ポレポレ東中野
「オールナイト宮地 其ノ二 R-18」エリザベス宮地、カンパニー松尾等@新宿ロフトプラスワン
※食事について:とんかつと豆腐→ハンバーグ&ステーキ

■10/1(日)
「そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」長島有里枝@東京都写真美術館
「『シンクロニシティ』平成をスクロールする 秋期」金村修、都築響一、志賀理江子等@東京都写真美術館
※食事について:牛タン→ハンバーグ&豚生姜焼き


全部は多いので印象深いやつについて簡単に感想を…。


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「We do not need you, here. / If I could only fly. 」岡本裕志@南麻布 EMON PHOTO GALLERY

本人も言ってたけど写真家っていうよりビジュアルストーリーテラーっていう立場での活動らしいので展示もそんな感じ。写真展っていうより資料展示、っていう印象の方が強いかな。2004年にイラクで起きた日本人人質事件のその後がテーマ。日本中から自己責任だろ、血税無駄にするな、とか色々バッシングされた青年の立場から世間の不寛容さを見つめなおす、的なやつ。写真よりも送りつけられた手紙(レプリカ)を中心に構成されてる。ちょっとややこしいので気になった人はどんな展示だったか調べてほしい。正直言ってメインビジュアル的に使われている手紙を顔に貼り付けたポートレートはしっくりこないんだけど、ここまでのメッセージを掘り出して展示まで持っていけたその力がすごいなと思う。もちろん個人的な友人関係にあったから、っていうのが大前提だけどSNSとかで日々いろんなものが炎上してる時代にこういうカタチで再度世にメッセージを返すのは意義深いことだ。不寛容、っていうキーワードはもちろんだけど同調圧力とか集団心理とか適正なバッシングとは?とかいろんな観点で議論できる素材だし。森達也のA、A2の構造と非常によく似てる。

個人的にはどんなクズ(扱いされる人)にも犯罪者(とされている人)にも築き上げて来た正義やモラルがあり、常に人はその時点で最善だと思う選択しかできない生き物なのだから、安易に否定したりしてはいけないと思う、特に多数決の理論を用いることによっては。否定するなら、非難するなら、個vs個のスタンスでとことん自覚的にすべし。そんなことを悶々と考えた。まだこの事件のときはネット社会が未成熟で手紙中心の時代だったから個vs個の形式は多少残っていたのかもしれないけれど、今はクラウドバッシングの時代だからなぁ…炎上したらどこからともなく薪的な何かが足されてもう何が燃えているのかもわからない…。このモヤモヤ感は自分でも何か作品にしてみたいな。

具体的には言えないけど会場で聞いたとある人の意見がこの騒動の縮図のような感じになってて何か納得するものがあった。どちらかと言えば悪い意味で。具体的じゃないから全然伝わらんだろうけど。

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「UNTITLED RECORDS」北島 敬三@新宿 photographers' gallery

全然期待してなかったけどフラッと立ち寄って眺めると意外とよかった(上からな言い方でスミマセン)。個人的には”untitled”って無責任で嫌いなんだけどこのシリーズにおいてはいい気がした。”untitled”であり”unfinished”でネバーエンディングなランドスケープ、っていう印象。いろんな作為もあるんだろうけれど一見無作為にも見える街の風景。でもなんか袋小路的な場所とか詰まった角っこ、塀の向こうに覗く高い建物の存在感とか…静かに胸がざわつく感じがある。清野賀子の”The sign of life”に近い感じで人工的だけどもうそれが自然になりつつある微妙なタイミングの風景、とでもいうべきか。人類が滅亡した5分後の各地の風景、みたいな。定期的に冊子が発行されているらしく、現在vol.12くらいまで出てたけど全部まとめて1冊200Pくらいになったら欲しい。特にキャプションはなかったけど日付くらいあってもいいかも。嘘キャプションでもいいから。

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「Family Regained」森栄喜@新宿 KEN NAKAHASHI

こちらも期待せず、予備知識もなく「赤いポートレート」っていう印象しかなかったんだけど意外と面白かった。他人の家族に混じって撮るセルフポートレートっていう手法は面白いから赤くしないでストレートにやったほうがいいと思った。どうしてもLGBT的なくくりで分類されてしまいがちだけど家族とか他人とかってもっと普遍的なテーマだと思うし。場所も新宿二丁目付近で客層も…まぁいいんだけど。

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「横浜トリエンナーレ2017」@横浜美術館、赤レンガ倉庫

トリエンナーレだし広いし色々な作品あったらからホントに印象に残った一部だけ触れるけど…やっぱ銅像を持ち上げるやつがよかったな。クリスチャン・ヤンコフスキーって人の作品で歴史的な人物の銅像とかを重量挙げの選手たちが協力して持ち上げるっていうただそれだけの映像なんだけど実況の音声がテンション高めに盛り上げてくれるし権力に立ち向かう生身の男たちっていう構図がグッとくる。大半は何の像かもわからんやつばかりだったけどいいんだ。小さきものが大きなものに対峙するだけで十分だ。バカバカしくて皮肉が効いてて熱くなれる。よい。よかった。

あと印象深かったのは「わからない」ということに対する養老孟司(だったかな?)の言葉がどこかに貼ってあって…たしか…世界は「わからない」ものだからそれを表現したアートも「わからない」でいいんだ、みたいな感じ。だったと思うけどなんか引っかかった。問いがループしてる感じでこの考え自体が問題提起をしているといえばそうなんだけど…話の最後に「…わかんないけど」をつけてウヤムヤにされるような感じというか…。何かアートにはもうひと押しする力があって欲しいと思う、個人的には。絶対的な正義なんてないという前提で個人的な解釈とか疑問を叩きつける感じとか。当たり前と言えば当たり前だけど。とにかくモヤっとしたんだ。

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「黄金町バザール2017」@黄金町〜日ノ出町エリア

横トリのついでに近くでやってた別のアートイベントとしてこれにも行ってきた。時間がギリギリすぎてほとんど回れなかったけど生活自体を展示してるある作家さんの家が印象強かったな。内容っていうほどの内容はないんだけど…知らない人の家に恐る恐るピンポン押して入っていく体験が新鮮だった。ほんとにこんなとこでやってんのかよ、っていう薄暗いアパートみたいなとこで不安だったけど出てきた作家さんは素朴でいい感じの青年でした。あとちょろっと回ったなかでは…チンポムがアメリカとメキシコの国境のとこに行って…ってやつも見たけどもっとゆっくり見たかったな。

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「劇場版 其ノ灯、暮ラシ」エリザベス宮地@ポレポレ東中野

夜になり、横浜からグッと移動して東中野へ。MOROHAっていう二人組ミュージシャンのドキュメンタリー映画を見たんだけど予想に反して良かった。どちらかといえばMOROHAの熱さは苦手だったんだけどドキュメンタリーとして背景から見ていくことでこちらのアレルギーが治まってきたところで…グッと持っていかれる感じ。そしてエリザベス宮地の手法(ミュージシャンのドキュメンタリーでありながら自身のセルフドキュメンタリーにもしてる感じ)がすごく相性良かったんだと思う。セルフに訴えかける音楽だから色んなセルフを見せるドキュメンタリー、って確かに筋も通ってる気がするし。ライブに行くイメージはないけど、いつまでもどこかの街で「この街はもっとやれる!」とか暑苦しく叫んでてほしい。そしてなんとなく流れで宮地氏が主催するオールナイト映画イベントにも行ってきた。さすがに疲れたな…。まぁとりあえずハマジム系映画は今後もチェックしたいと思う。

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「『シンクロニシティ』平成をスクロールする 秋期」金村修、都築響一、志賀理江子等@東京都写真美術館

なんか時代を象徴する面白いものを色々見た気がしてたけど約2ヶ月経ってみると…おどろくほど覚えてない!まぁたぶん結構有名な方々の有名な作品がいろいろ見れてお得感があったんだと思う。

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見ての通りだんだん疲れてきて文章量少なくなってきたけど…今回はこのへんで。もっと色々見たかったけど東京の街も撮り歩きたいし…もうちょっと頻繁に上京しまっす。今回各所でお会いできた皆さん、ありがとうございました。また会いましょう。

そしてさよならエンケン…

Diary : 嘘を言っては困ります。現れないのが透明人間です。

いやぁ、慌ただしい季節になってきたな…。仕事的に冬がいつも山場なので毎年雪解けの春を待ちながらバタバタしたりハラハラしたりウトウトしたりしてます。おかげさまで写真はちょこちょこ色んなところで広まっていってるけど年々撮る機会は減ってるな…。以前はもっと日常的に撮ってたのにこの1年は旅先とか遠出したついでばっかりで生活圏で撮ったのはほとんどない…。自分が何を撮りたいのか、撮ろうとしているのか、伝えようとしているのか、今一度整理せなな。俺、いつもこんなこと言ってるな…。久しぶりに東京行きたい。

3年目のファイナリスト選出となるMiami Street Photography Festival 2016も遠い海の向こうで盛り上がってるみたい。1回くらい現地に行きたい!っていう気持ちもあるけど行ったところでうまく絡めない自分も容易に想像出来る(毎年こんなこと書いてる気がするので詳しくは1年前とか2年前の記事を読んでください)。今週末日曜には受賞者の発表もあるはず。特に今回はストリート色が薄いやつで選ばれてるから上位入賞はない気がするけど特別枠的なの何かもらえんかな。

忙しさのせいにしてジムに通う回数も減ってきてます…。最近は行っても小一時間キュッと泳ぐだけ。とりあえず毎回1キロをめやすに平泳ぎしてます(クロールはまだできない)。先日うでをぐっと伸ばすときに手のひらを合わせるようにすると水の抵抗が少なくてするっといくことを発見して以来、タイムが15%くらい縮んだから嬉しい。水泳に関しては小学校時代にやれなかった、やらなかった、避けてきたことをようやく30代になって少しずつやってきてる感じ。誰に教わることもなくフォームのチェックもしてないから完全にイメージだけだけど体動かすのは疲れるけど気分はいいのでコンスタントに続けたい。

しばらく前だけど家の漫画とかいっぱい売った。けっこう本とかCDは持っておきたいんだけどもう本棚がいっぱいで…。200〜300冊で4万くらいになったので悪い数字じゃないと思う。とりあえずまんだらけ→買取不可分のみブックオフ、の流れ。売る前にきちんと写真撮ったりしようと思ったけど(以前から自分が捨てるもの全て撮ったらどうだろう、っていう構想はあるけど実現するパワーがない)、まぁ不要なものより本棚に残したものを大事だと思ってるんだからそっちを紹介した方がいいだろう。一部だけペロン。ヘタウマ系コーナー(ヘタウマっていう呼び方は好きじゃない)。蛭子先生は特にクールです。横尾忠則の世界をゆるく再構築した感じ。正義隊も緊張感バリバリです。山田花子も卑屈な心理描写が共感を誘います。花くまゆうさくは意外と感動します。

さて、ここからは師走企画的なやつを。例年のように雑誌やいろんなサイトで今年の写真集ベスト10!みたいなのをやってるけどそれ的なやつを自分も。ただし新しいものばかり買ってるわけじゃないし全体像を把握してるかといえばそうじゃないしそんなにたくさん数もないし…というわけで「2016年に買った写真集のなかで気に入ってるやつ4選!(中途半端)」をちょろっとお届け。

1つめはNicoló Degiorgisの「Hidden Islam」を。これは結構新しいのかと思ってたけど2年前なんやね。イタリアの国内各所に点在するイスラム教の簡易的なモスクをまとめたもの。イタリアではカトリックに次いで2番目の宗教なのに国はそれを公認しておらず、こうして間に合わせのモスクみたいなところでコソコソと礼拝をしているらしい。見開きで外観モノクロを、そこから片観音開きで礼拝の様子を、という面白い構成。正直開くのはめんどくさいけど1枚1枚に描かれている生活感と神秘感の同居する感じは(特に無宗教な)自分からすると異様な光景でそそられる。何かしらの文化をとりあげるならもっとその環境にどっぷりつかって中の人の目線で描いた方が凄い!みたいな風潮がドキュメンタリー界隈にはある気がするけど自分はこうしてきちんと外の人間の目線で撮られたものの方が外の人間として共感できます。実際にこれが外の人が撮ってるのか内側の人が撮ってるのかは知らんけど。

2つめはみんな大好きAlexander Gronskyの「Mountains and Waters」を。Pastoralがアマゾンからいつまでたっても延期&延期で出荷されないので(噂によるともうダメらしい…)こっちを買っちゃいました。安定のグロンスキービューが並んでる感じだけど今作は定点から左右にパンして2枚撮った感じの変わったパノラマ感のあるやつが特徴(そんなに広すぎないから全然気にならんけど)。そして舞台が中国ってことでますます欲しくなっちゃうよね。Zhang Kechunの「Yellow River」とかNadav Kanderの「The Long River」とかとよく似たテーマだけど個人的に全部ツボな感じなのでヨシ(ちなみにこの2作は写真集もめっちゃ欲しいけどめっちゃ高い)。たぶん青島で自分が撮ろうとしたのもこういう光景なんだろうなぁ。スーパーメジャーな場所だったけど。時間とかお金とかいろいろ都合がつけば中国中を3年くらいトボトボ歩きたい。例えばLensCultureとかで「China」で検索すると面白いシリーズがいっぱい引っかかるのでおヒマなときにどうぞ。

3つめはみんな大好きMichael Wolfの「The Real Fake Art」。これまた舞台は中国ですが世界中のいわゆる一流アートみたいなやつの複写画を描いている村?があるらしく、そこで作者に作品を持たせてポートレートを撮ったもの。左ページはご丁寧に$5とか$10とか値段も書いてます。皮肉たっぷりなんだけど彼らがちょっと恥ずかしそうにしながらも誇らしげに立っているのが好き。いやらしい感じがしない。アートの価値ってなんじゃらほい?っていうメッセージがタイトルにも込められてて愉快痛快湯快リゾート。写真とは?みたいな議論は好きじゃないけどすごく写真的なアプローチなんじゃないかな。知らんけど。

ラスト4つめはみんな大好き(みんな大好き系ばっかりだな…)Lee Friedlanderの「In The Picture Self Portrait 1958-2011」。フリードランダーといえば元祖セルフィーおじさん、っていうくらい自撮りは有名だと思うし実はもっとコンパクトにまとまった写真集も持ってるんだけど、この厚めの400P近くあるやつも欲しくなって買っちゃいました。定価は結構するけどなぜかジュンク堂のアウトレットみたいなやつで格安で入手できたし。そして彼のセルフィーに限ってはこのボリュームでもなぜか飽きず、ペラペラめくりながら彼の半生とユーモアを朗らかに楽しめる。影を利用したもの、ガラスや鏡への写り込みを利用したもの、あえて植物がワサワサしてるところに身を置いて手を伸ばして撮ってるもの、レリーズケーブル使いながらスタンダードに撮った家族との写真、自身の病床での写真などなど。だいたいなんか居心地悪そうな顔してるのもいい。

以上、よいお年を!